語音明瞭度とは「言葉を聞き取る力」の指標:低下のサインと影響とは?

話している声は聞こえるけど、何を話しているか言葉が聞き取れない。テレビの音量を大きくしても話している内容がわからない。ご自身やご家族で思い当たることはありませんか? その理由は「言葉を聞き取る力」にあります。その力を知る目安となるのが「語音明瞭度」です。 聴覚は、単に音を聞くということだけではなく、人と人のコミュニケーションに欠かすことができないものです。語音明瞭度について理解し、自分の話声を聞き取れる耳と脳の力を知り、適切な対策を取ることがとても大切です。 この記事では、語音明瞭度低下のサインやその影響、また検査などについて説明します。 目次1 語音明瞭度は「特定の語音を聞き取れるか」の指標1-1  語音明瞭度は補聴器の装用効果の予測や適合状態のチェックにも使われる1-2 聴力低下との語音明瞭度の関係2 語音明瞭度低下の影響2-1 会話聞き取りの質の低下とコミュニケーション2-2 語音明瞭度は一度低下すると元に戻すのは非常に困難3 語音明瞭度が低下しているサイン4 語音明瞭度検査4-1 語音明瞭度検査を受けられる場所4-2 語音明瞭度検査の方法4-3 検査の結果の例と読み方5 最高語音明瞭度と音声理解度6 言葉の聞き取りづらさを感じたら早期受診7 まとめ 1 語音明瞭度は「特定の語音を聞き取れるか」の指標 語音明瞭度は、特定の語音(ことば)をどれだけ正しく聞き取れるかを示す指標です。つまり、何を言っているか、話の内容を聞くために必要な能力がどれだけあるかを表しています。 私たちの耳に入ってくる音にはたくさんの種類があり、耳から脳に電気信号として伝えられたそれらの音を、これまでの経験などから「車のクラクション」「虫の鳴き声」「人の話し声」のように認識しています。 さらに「人の話し声」からその内容を理解するためには、音を「語音」「言葉」として正しく聞き取り、認識することができないと、意味をもたないただの音の連なりとなってしまうのです。 1-1  語音明瞭度は補聴器の装用効果の予測や適合状態のチェックにも使われる 語音明瞭度は検査で測定し、%で表されます。正常な聴力の場合は40dBという音圧(音の大きさ)で90%~100%を示します。そして、その人の持つ最も高い語音明瞭度を最高語音明瞭度と言います。最高語音明瞭度については6で詳しく説明しています。 また、補聴器装用の効果を予測するためには、この最高語音明瞭度がどの程度かがとても重要になります。難聴の人でも最高語音明瞭度が一定以上であれば、補聴器で音を大きくしてあげることで、聞き取りが向上する可能性が高くなります。 一方で最高語音明瞭度は音を大きくしても改善しないため、補聴器の効果は限定的になります。補聴器装用効果の目安は以下のとおりです。 語音明瞭度が80%以上の場合:補聴器の装用効果が期待できる 聴力が低下していても最大語音明瞭度が80~100%であれば、補聴器の装用効果が期待できます。 もちろん一人ひとり聴力が違うので個人差はありますが、入ってくる音を増幅して装用者の最高語音明瞭度が出るところまで音を大きくすることで、会話の聞き取りに対して効果が期待できるでしょう。 以前の聞こえと同じになるところまでいかなくても、より近づく可能性があるということです。 ただし、あくまでも予測であり、補聴器装用者の生活環境や主観的な評価など個人によって違うので、実際に補聴器を着けて測定し、最大限の効果を発揮できるよう調整を重ねていく必要があります。 語音明瞭度が80%未満の場合:補聴器の装用効果に限界がある 最高語音明瞭度が80%未満の場合は、残念ながら補聴器を使っても以前のように聞き取るのは難しくなります。 最高語音明瞭度は、その人が持っている最高値なので、補聴器を装用して音量を上げてもこの値が改善される訳ではないからです。 補聴器を装用しても会話が期待したとおりに聞こえずにがっかりするかもしれませんが、これを理解した上で期待値を設定し、「音が聞こえる」生活を取り戻すための補聴器の使い方を考えてはいかがでしょう。 1-2 聴力低下との語音明瞭度の関係 一般に、難聴と語音明瞭度には相関関係が見られると言われています。 特に加齢による感音性難聴の場合は高い音から聴力が低下する傾向があり、その結果高い音の領域に分布する子音が徐々に聞こえづらくなっていきます。この聞こえづらい状態が長く続くと語音明瞭度が低下し、聞き間違いが多くなったり、話の内容がわからなくなってしまうのです。 加齢による難聴は誰にでも起こりえますが、自覚した場合はできるだけ語音明瞭度を維持するようにしたいですね。 2 語音明瞭度低下の影響 では、語音明瞭度の低下はどのような影響を及ぼすのかみていきましょう。 会話聞き取りの質の低下 コミュニケーションが億劫になる リカバリーの難しさ 2-1 会話聞き取りの質の低下とコミュニケーション 語音の正しい聞き取りができないと、話の内容をきちんと理解することが難しくなり、日々の生活にも影響が出てきます。 聞き取りの問題からくる日常生活でのコミュニケーションの難しさは、本人にも周囲の人にもストレスを与えます。会話が億劫になる方も多く、ひいては孤独を感じて鬱状態に陥ったり、認知症の要因にもなったりし得るという研究報告もあります。 2-2 語音明瞭度は一度低下すると元に戻すのは非常に困難 一度低下してしまった語音明瞭度を上げるのは非常に難しく、ほぼ無理と言われています。 そのため、「語音」の聞き取りを維持することはとても重要です。 3 語音明瞭度が低下しているサイン もし、あなた自身や身近な方に以下のようなことが思い当ったら、語音明瞭度が低下しているかもしれません。気になるようであれば、早目に耳鼻科などで聴力とともに語音明瞭度を検査してもらってはいかがでしょうか。 テレビの音量をかなり上げても、何を話しているかがわからない テレビを見ていて、何を言っているのかわからないから音量を上げていませんか? もちろん、周囲の音がうるさかったり、音量が小さすぎる場合もあるかもしれませんが、その場合はある程度音量を上げれば聞き取れるはずです。 でも、音量を上げても全部理解できない時は、要注意。語音明瞭度が低下しているのかもしれません。 会話をしていて相手が何を言っているのかわからない時がある 目の前で話している相手の話がよくわからない。話声がしていることはわかるけれど、横を向かれると言葉がちゃんと聞き取れない。 加齢による感音性難聴が進行するとともに語音明瞭度が低下し、口元を見ないと何を言っているか理解できない、といった現象が起こり がちです。 言葉の聞き間違いが多い 病院で名前を呼ばれて気付かない、何となく話の辻褄が合わないなど、聞き間違いが多く、人から指摘されることも増えてきたら要注意です。 聞き間違いの例: さとう(佐藤)さん ⇒ かとう(加藤)さん ちょうじょ(長女)⇒ しょうじょ(少女) ばんち(番地)⇒ だんち(団地) … Continue reading 語音明瞭度とは「言葉を聞き取る力」の指標:低下のサインと影響とは?