
いよいよ夏本番! オープン以来、いろいろなニュースが取り上げられる大阪・関西万博。
この夏、1度は行こうと思っていても、難聴者やシニアの方には、五感を刺激する仕掛けに溢れた万博会場に不安を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
そこで!筆者が調べた、難聴者やシニアの方が快適に万博を楽しむための7つのキーワードをご紹介します!
大阪・関西万博(以下、万博)が採用するユニバーサルサービスガイドラインでは、聴覚に困難のある方も含め、すべての来場者が安心安全に楽しめるよう「多様な情報提供手段」を用意することが推奨されています。
早速1つずつ紹介していきましょう!
目次
1. “アクセシビリティーセンター” で安心サポート
まずチェックしておきたいのが、会場内に設置される総合サービス拠点「アクセシビリティセンター」です。
ここは車いすやベビーカーの貸出、筆談や手話での案内など、様々なサポートを提供する万博内の相談窓口です。
難聴や高齢の方に向けても、高齢者用イヤホン(軟骨伝導集音器)などの無料貸し出しサービスがあります。
耳をふさがずに周囲の音を補助してくれる集音器なので、補聴器を持っていない方やちょっと聞こえづらい方にも便利ですね。
そのほか、スマホアプリを活用した情報サービスも提供されており、困ったときはここで相談すれば安心です。
詳しくは公式サイトの「ユニバーサル情報>各種施設・サービス」で確認できますが、会場に着いたらまず立ち寄りたい必須スポットと言えるでしょう。
参考: 大阪・関西万博公式HP→「各種施設・サービス」メニューを選択すると確認できます。
2. “しゃべり書き® アプリ” で会話を見える化
万博会場では、聞こえにくい方や訪日外国人の方に向けて三菱電機の「しゃべり書き®アプリ」というサービスが提供されています。
例えばスタッフが「○○パビリオンはここにあります」と声で案内しながら地図を指でなぞると、その案内音声がリアルタイムで文字化され、手元のアプリ画面上に表示されます。
つまり、周囲の説明をスマホ画面上の文字で追うことができるので、騒がしい場所でも内容を聞き逃す心配が減りますね。
万博会場内は電波が弱くなることもあるので、アプリのダウンロードに時間がかかるかもしれません。
必要な方は事前にインストールしておくと安心です。
このアプリは万博の最終日である2025年10月13日まで無料で利用可能で、iPhone・iPadに対応しています(※Android未対応)。
参考:三菱電機オフィシャルサイト
参考:読売新聞オンライン
3. 世界初の “軟骨伝導イヤホン” を体験
ニュースなどで耳にした方もいるかもしれませんが、万博会場では「軟骨伝導イヤホン」と呼ばれる世界初の音響技術が導入されています。
外耳の軟骨を振動させて音を伝える仕組みで、“第三の聴覚経路”とも称される最先端のイヤホンです。
耳を塞がずに音を届けられるため、周囲の音も同時に聞き取れ、補聴器とは異なるアプローチで聞こえをサポートしてくれます。
せっかく未来の技術をいち早く体験できる機会ですから、会場の雑踏の中でも積極的に活用して万博を思いっきり楽しみたいですね。
万博内では、この軟骨伝導イヤホンが以下の2つの用途で活用されています。
- スタッフ向けインカム:
会場スタッフ同士の連絡用インカムとして使用。騒がしい環境でもクリアに意思疎通ができます。
- 来場者向けガイド用イヤホン:
一般来場者には、多言語翻訳機能付きのガイドイヤホンとして提供。耳を塞がないイヤホンで案内放送を聞き取りつつ、日本語以外の言語でも同時通訳された音声を楽しめます。
4. “テキストアナウンス” で聞き逃し防止
広い万博会場では、各所で館内放送やアナウンスが流れますが、人混みや雑踏で肝心の放送が聞こえなかった…という心配はありません。
会場内の屋内外で流れるお知らせは、自分のスマートフォンなどで文字情報として確認できる「テキストアナウンス」サービスが提供されます。
会場に掲示された二次元コード(QRコード)を読み取り専用Webページにアクセスすると、日本語・英語を基本に最大7言語対応でアナウンス内容がリアルタイムにテキスト表示される仕組みです。
アプリのインストールも不要で手軽に利用できるのが嬉しいポイント。これなら会場アナウンスを聞き逃してしまっても安心ですね。
また、万博会場内のインフォメーションセンターをはじめ多くの展示エリアでは、音声認識システムが導入されています。
スタッフの説明やステージイベントの音声をその場で文字起こしするスクリーン表示があったり、日本語がわからない方向けには他言語へのリアルタイム翻訳サービスも提供されています。
音声情報を目で追える工夫が随所に施されているので、耳が聞こえにくい方でも情報面で取り残されることは少ないでしょう。
5. “ヒアリングループ(テレコイル)” を活用
既に補聴器や人工内耳を使っている方は、会場内で設置されている「ヒアリングループ(磁気ループ、テレコイル)」も活用しましょう。
ヒアリングループ対応エリアでは、対応する補聴器・人工内耳をTモード(テレコイルモード)に切り替えるだけで、周囲の雑音に邪魔されずクリアな音声を直接受信できます。
展示館の案内放送やイベントの司会者の声が格段に聞き取りやすくなる便利なシステムです。
万博公式サイトでは対応施設の詳細が明示されていなかったものの、主要なパビリオンやステージで利用可能なようです。
ぜひ会場でTマーク(テレコイル対応マーク)を探してみてください。
対応の補聴器をお使いなら、切り替え一つで聞こえがグンと快適になるはずです。
6. “落ち着ける場所” で一息つく
様々な仕掛けが随所に施されている非日常的な万博会場では、音や光を駆使した仕掛けが多く、ワクワク感の連続を味わうことができるでしょう。
一方で、そうした強い刺激から一時的に退避できるスペースも、多く設置されています。
歩き疲れはもちろん、聞き疲れ、めまい、動機などへの不安がある方も、このようなスペースを活用しながら、共に万博を楽しめるような配慮がされています。
エリア名 |
内容 |
静けさの森 |
万博会場中央部に位置しながら、緑に囲まれたひときわ静かな2.3ヘクタールの森エリアです。約1,500本もの樹木に囲まれ、木漏れ日が差し込む池もある癒やしの空間で、喧騒を忘れてゆったり過ごせます。 |
カームダウン・クールスペース |
会場内に40か所以上設置されるクールダウン用のスペース。光や音など感覚刺激を遮断できる簡易個室のような設備で、感覚過敏によるストレスやパニックを和らげる効果があります。万博共通のスペースが8か所、さらに各パビリオンにも設置されているとのことです。 |
シニアプライオリティエリア (高齢者優先休憩所) |
65歳以上の高齢者や体調不良の方向けに優先的に使える休憩所です。冷暖房完備なのはもちろん、リクライニングチェアやマッサージチェア、血圧計まで備えられています。 |
家族向け休憩所 |
会場内には屋内に12か所、屋外に20か所以上もの休憩スポットが用意されています。中には周囲の音を抑えたサイレントエリアが設けられている休憩所もあり、小さなお子さんからお年寄りまで家族全員が静かに休める工夫が凝らされています。 |
医療救護施設 (診療所・応急手当所) |
万博会場内には3か所の診療所と5か所の応急手当所が設置され、医師や看護師などの医療従事者が常駐しています。万が一具合が悪くなってもすぐ対応してもらえるので安心です。事前に場所を把握しておくと心強いでしょう。 |
これらの情報は万博公式サイトで公開されている「センサリーマップ」にも詳しく載っています。あらかじめ静かなエリアの場所をチェックし、適度に休憩を挟みながら回る計画を立てておけば、当日も無理なく楽しめるはずです。
7. “大阪ヘルスケアパビリオン” で未来の健康体験
万博会場に数多くあるパビリオンの中でも、健康に関する最先端技術が集結した「大阪ヘルスケアパビリオン(Nest for Reborn)」はぜひ訪れてみたいスポットです。
大阪府・大阪市など地元が中心となり、“いのち”や“健康”そして近未来の暮らしをテーマにした様々な展示や体験が用意されています。
たとえば25年後の自分に会える「リボーン体験」では、自分の健康データを元に将来の姿をアバターで体感できるユニークなプログラムが用意されています。
また、最先端の再生医療(iPS細胞)について学べる展示や、360度シアターと振動する床を組み合わせた迫力満点の体験型コンテンツもあるそうです。
まさに大阪・関西万博のテーマである「いのち輝く未来社会」を体現したパビリオンで、シニア世代の方や医療・福祉に関心のある方にも興味深い内容でしょう。
最新の健康テクノロジーやユニバーサルデザインのヒントが満載ですから、家族でぜひ体験したいですね。
まとめ – 難聴だけじゃない、すべての人が楽しめる万博
いかがでしたか? 2025年大阪・関西万博のコンセプトは、「いのち輝く未来社会のデザイン」。
すべての人が共生する社会の縮図ともいえる万博は、難聴の方だけではなく、きっと誰もが楽めるはず。
既に補聴器を装用されている方は、補聴器アプリを活用し、会場内の環境音やノイズに合わせて音質や指向性を調整してみてください。
スマホから簡単に調整できるので、万博会場でも快適な聞こえをサポートしてくれるようです。
万全の暑さ対策もお忘れなく、未来の社会を楽しんできてくださいね!