通販の補聴器を徹底解説!お店で買う補聴器との違い、注意点も

「通販補聴器」とは文字通り、「通信販売で購入できる補聴器」です。

補聴器は医療機器であり、「音質・音量を使用者の聴力に合わせる必要があるため、補聴器販売店で購入する」とされています。

一方で、メーカーや器種はそれほど多くはないものの、通販でも補聴器は販売されています。

通販で補聴器を販売しても良いものなの?通販の補聴器はお店で買うものとどう違う?

ここでは通販で販売されている補聴器についての詳細をご紹介します。

1 通販補聴器とは

まずは、通販補聴器がどのようなものかをご説明します。

ネットや新聞広告、通販カタログなどで購入できる

通販補聴器は、下記のような場所や媒体で購入することができます。

通販補聴器が購入できる場所・方法

  • ネットショップ(Amazon、楽天市場、Yahooショッピングなど)
  • 新聞広告からの電話・FAX・郵便による注文
  • 新聞折込チラシからの電話・FAX・郵便による注文
  • 通販会社のカタログ

通販補聴器の価格は2万円~5万円が主流

通販で販売されている補聴器は12万円~5万円の製品が多いようです。

「補聴器販売店で購入する補聴器」の平均購入額は15万円(JapanTrak2022)とされているので、比較すると3分の1以下と安価で購入することができます。

聴力は軽度~中等度難聴者が対象

通販補聴器の対象者は、一般的に加齢性難聴(歳を取ってから出てくる難聴)で、かつ軽度~中等度難聴の人になります。
難聴度合いは4段階に分かれていますが、その軽い方の2段階の人向けです。

難聴の程度 平均聴力レベル 聞き取りの不自由度
正常 25dB未満
  • 普通の会話は不自由を感じない
  • ささやき声も良く聞こえる

軽度難聴

通販補聴器の対象

25dB以上~40dB未満
  • 小さな声やささやき声は聞き取りにくい
  • テレビの音が大きいと言われる

中等度難聴

通販補聴器の対象

40dB以上~70dB未満
  • 普通の会話が聞きづらい
  • 自動車が傍に来て初めて気づく
高度難聴 70dB以上~90dB未満
  • 大きな声でも聞きづらい
  • 大きな声でも聞き間違いが多い
重度難聴 90dB以上
  • 耳元で大きな声も聞きづらい
  • 日常の音声はほとんど聞こえない

 

高度・重度難聴者が通販補聴器を購入してしまい、全然聞こえないという例が多くみられるようです。ご自身の聴力がわからない場合は、耳鼻咽喉科で聴力検査を受けてください。

また、軽度~中等度の難聴の人でも、過去に耳の病気をした、耳の手術をした人は対象ではないので、注意をしましょう。

聴力検査の見方は下記から詳しく知ることができます。

聴力検査の見方がわかる!「標準順音聴力検査」を詳しく解説

集音器と間違えないように

ネットショップで「補聴器」と検索すると、数多くの器種が検索結果に表示されます。
ですが実は、検索結果のほとんどが「集音器」で、補聴器ではないのです。

補聴器は「難聴者のために開発された医療機器」ですが、集音器は「家電製品で、難聴者向けの製品ではない」ことをご存じですか?
見た目が似ていて、様々な機能搭載をうたっている集音器も多くありますが、「聞こえの悩みを改善したい」のであれば「補聴器」を選択する方が無難です。

ネットショップでは、なぜか集音器も補聴器と同じカテゴリーとされているため、「補聴器」の検索結果に集音器が表示されてしまいます。

似ているようでも、補聴器には必ず製品名に「補聴器」と記載があります。
もしあなたが「聞こえ方を改善する機器」を探しているのなら、間違えて集音器を選ばないように気を付けましょう。

補聴器と集音器の違いは下記から詳しく知ることができます。

補聴器と集音器の違いとは おすすめの人・購入時のポイントも紹介

補聴器と集音器の違い

2 「通販補聴器」と「対面販売補聴器」の違い

通販補聴器は、「補聴器販売店で購入する補聴器」と何が違うのでしょうか?

通販で購入する補聴器 補聴器販売店で購入する補聴器
価格(1台あたり) 2万円~5万円 5万円~50万円
購入できる場所 ネットショップ・新聞広告・通販カタログ 補聴器販売店
対象者

軽度~中等度難聴者(軽めの難聴度合いの人)
(*加齢性難聴者のみ)

軽度~重度難聴者(すべての難聴度合いの人)
音量調節 セルフフィッティング 装用者の聴力に合わせて調節可能
音質調整 音質調整は不可 装用者の聴力に合わせて調節可能

 

まずは何より、価格が違います。価格の差は、補聴器の性能の差に他なりません。

お店で買う補聴器は、補聴器について熟知しているスタッフが補聴器の設定を細かく設定してくれます。また、1回だけでなく、必要に応じて何度も設定してくれるのです。
そのため、その人にピッタリの音が補聴器から出てきます。

通販補聴器には、このような細かな設定ができません。その分、価格を抑えられており、気軽に気楽に購入できるようになっています。
なお、通販で買った補聴器を持ってお店に行っても、調整することはできないので、注意してください。

3 通販補聴器のメリット

通販補聴器には、このようなメリットがあります。

気軽に購入することができる

通販ですので、補聴器販売店に行かずに購入することができます。

補聴器を、誰にも相談せずに試してみたい、使ってみたい。補聴器販売店に行くのはちょっと抵抗がある。このような人も、通販であれば気軽に購入することができます。

価格がお求めやすい

通販の補聴器は前述した通り、12万円~5万円程度で購入することができます。

一般家電製品と比較すると安いとは言えませんが、補聴器販売店で購入する補聴器の平均金額が約15万円ですので、3分の1程度になります。

価格の違いの理由は、主に下記が考えられます。

通販補聴器がお求めやすい理由

  • 通販補聴器は音量調節を自分で行う(セルフフィッティング方式)
  • 販売にあたり、家賃や人件費がかからない
  • 補聴器に搭載されている機能が、ベーシックな機能のみ

補聴器の価格については下記で詳しく知ることができます。

補聴器の相場ってどれくらい?おトクな買い方から自分に合った補聴器選びまで徹底解説!

費用・コストイメージ

音量・音質調節はセルフフィッティング

補聴器販売店で買う補聴器の多くは、ユーザーの聞こえ方に合わせて音量や音質などの細かな調整を行うことができます。

ですが、通販補聴器は細かな調整はできず、基本的に本体に設置されているボタンやリモコンを操作し、音量の上げ下げや、簡単な音質調節を行うにとどまります。

その分、操作がシンプルなのはメリットと言えます。

4 通販補聴器の注意点

通販で購入する補聴器は、お求めやすく気軽である反面、注意すべきこともあります。
その特徴や、補聴器販売店で購入する補聴器との違いを理解したうえで、購入の判断をしましょう。

自分の聴力に合わせて音を調整できない

通販では、装用者の耳の状態の問診や聴力測定を受けずに購入をすることになります。また、音量や音質が調節できる度合いは限られています。
そのため、完全には自分の聴力に合わせることができません

補聴器をつけてクリアな聞こえを求める場合、通販の補聴器では物足りないと感じる人もいるでしょう。

対象者が限られる

通販補聴器の対象者は、加齢性難聴の軽度~中等度難聴者となります。
それよりも難聴度合いが重い高度難聴、重度難聴の人には適しません。また、耳の手術や治療をした人は使えません

アフターサービスが限られる

多くの通販補聴器は、お店で買ったらそれ以降のアフターサービスはついてきません
使い方のサポートや、故障の対応なども、オンラインや電話での対応になります。

補聴器とは、買って耳につければすぐに上手に聞こえるようになるものではありません。
しばらく聞こえづらい状態が続いている中で、急に補聴器で音を聞くと、脳がびっくりして「うるさい!」と思ってしまいます。
そのため、最初は音量を抑え目にし、慣れと共に徐々に音量を大きくしていきます。
リハビリと一緒で、少しずつトレーニングしていく必要があるのです。

補聴器販売店では、補聴器に慣れるために購入後にも一緒に寄り添ってサポートしてくれますが、通販補聴器ではこの過程も自身で対応する必要があります。

「補聴器がちゃんと使いこなせるか不安」、と思われる場合は、補聴器販売店での購入がお勧めです。

購入前に試すことができない

多くの補聴器販売店は、補聴器を購入する前にしばらく補聴器貸し出してくれるので、一定期間生活環境で試してから購入することができます。

通販補聴器は、基本購入前に試すことができません。購入後返品を受けてくれる場合もありますが、購入から1週間程度までと期限があるようです。

短い期間しか試せない場合、補聴器の音に慣れる前に返品期限が来てしまいます。そのため自身に合うかどうか判断が難しいかもしれません。

5 主な通販補聴器

ここでは、2025年現在に販売されている主な通販補聴器についてご紹介します。
販売価格はオンライン上の代表的な価格を参考にしていますので、実際とは異なることがありますのでご了承ください。

オンキヨー補聴器 OHS-D31

https://www.onkyo.net/hearing-aid

販売価格:片耳用1台39,800円  両耳用2台74,800円
*価格はオンライン上での販売価格を参考にしています。

オンキヨー補聴器 OHS-D31の特長

  • 軽中等度難聴者向け
  • オンキヨー補聴器は、シリーズ出荷台数が累計20万台*を突破している実績のある補聴器
  • 左右別の形状で耳にすっぽり収まるから目立たない
  • 補聴器本体が小さく、軽量1.4グラム(電池重量含む)で1日中装用していても疲れにくい
  • リモコンが付属されており、48段階の音量調節が可能
  • 雑音抑制、ハウリング抑制など基本的な性能を搭載

*2025年4月現在

オンキヨー補聴器OHS-D31はオンラインでレンタルが可能で、購入前に試すことができます。

レンティオ
https://www.rentio.jp/products/ohs-d31

Vibe Vibe Go

Vibe補聴器のイヤフォン型補聴器、Vibe Go

Vibe Go ヴィーブ ゴー 補聴器 [両耳セット] 【適応聴力:軽度~中等度】 (非課税)

販売価格:128,000円 (両耳セット、補聴器2台+充電器)
*価格はオンライン上での販売価格を参考にしています。

Vibe  Vibe Goの特長

  • 軽中等度難聴者向け
  • スマートフォンでセルフヒヤリングチェック、セルフフィッティングが可能
  • イヤフォンのような見た目
  • 充電式で電池交換不要、フル充電で連続26時間使用可能
  • 雑音抑制、ハウリング抑制など基本的な性能を搭載
  • 声が聞こえてくる方向を自動で認識する「スピーカーフォーカス機能」を搭載
  • オーディオストリーミング*やアプリで音量調節が可能

*利用できるスマートフォン機種に限りがあります。

ニコン・エシロール NEF-M100S

販売価格:22,800円(片耳用1台)
*価格はオンライン上での販売価格を参考にしています。

ニコン・エシロール NEF-M100Sの特長

  • 軽中等度難聴者向け
  • 左右別形状の耳あな型補聴器
  • 本体のダイヤルで音量調節が可能
  • 電池を裏表どちら側で入れても使える安心設計
  • 雑音抑制、ハウリング抑制など基本的な性能を搭載
  • 雑音を抑制する「リラックスモード」、会話の聞こえを優先する「アクティブモード」を搭載

オムロン AK-15

https://store.healthcare.omron.co.jp/category/51/AK_15_SET.html

販売価格:39,800円(片耳用1台)
*価格はオンライン上での販売価格を参考にしています。

オムロン AK-15の特長

  • 軽度難聴者向け
  • 超小型の耳あな型補聴器
  • 重さわずか1.8グラム。長時間使用でも疲れにくい
  • 付属のドライバーで音量調節が可能
  • 雑音抑制機能、ハウリング抑制など基本的な性能を搭載

オムロンAK-15は、オンラインでレンタルが可能で、購入前に試すことができます。

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