
仕事での会議や打ち合わせ、プレゼンテーション、仕事仲間とのちょっとした雑談まで、仕事のシーンにおいて「言葉を理解する能力」は当たり前ですが欠かせませんよね
しかしそれより前に、まずは「正確に聞き取る」ことが重要です。
聞こえなかった、聞き間違えてしまった、となると時には業務に支障をきたしたり、職場での信頼関係に影響を与えることも…
だからこそ、「聞こえ」は仕事を支える大切なツールのひとつなのです!
聞こえ方が低下してきたら、それを補う方法として補聴器という選択肢がありますが、これから補聴器を使おうかと検討中の方は、こんな疑問をお持ちではないでしょうか?
- 職場で補聴器って目立たないかな?
- 職場でちゃんと使いこなせる?
- 自分の仕事に合った補聴器ってあるの?…
この記事では、職場や職業に応じた補聴器の選び方やおすすめ機能、仕事で役立つ便利なアクセサリーまで、わかりやすくご紹介します。
既に補聴器をお持ちの方にも役立つ情報がたくさんあります!
仕事に役立つ補聴器選びのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
目次
1 職場のシーン別:おすすめの補聴器機能と器種
仕事をする上で「聞こえ」は非常に重要な要素です。
プライベートシーン以上に職場では、会話を正確に聞き取り、適切なコミュニケーションを取ることが、業務の成果や安全性に直結します。
そこで役に立つのが補聴器です。補聴器があなたの聞こえ方をサポートし、あなたのビジネスもサポートしてくれます。
しかし、補聴器に求められる「聞こえのニーズ」は、職業や職場環境によって実にさまざまです。
静かなオフィスでの1対1の打ち合わせと、騒がしい工場での作業指示では、必要とされる補聴器の機能も大きく変わってきます。
どの職種でも共通して大切なのは、「装用感の良さ」と「自然な音質」です。一日中使っても疲れにくく、聞こえに違和感を感じないことが何より重要になります。
ここでは、職場環境や業務内容に応じて、どのような補聴器の機能や特徴が役立つのかをご紹介します。
1対1の対話が中心の職業
該当する職業例 | 聞こえのニーズ |
・カウンセリング業、医療従事者(診察時) |
・相手の声をクリアに聞き取ること |
カウンセリング業や医療従事者、営業職、コンサルタント、そして接客業や受付業務など、相手と向き合って話すことが多い職業では、何よりも「相手の声を正確に聞き取る」ことが重要です。
このような職業で働く方には、相手の声を明瞭に聞き取り、細かなニュアンスや感情まで理解できることが大切です。
特に接客業では、お客様との信頼関係を築くためにも、聞き間違いは避けたいところですよね。
また、カフェやレストランなどのBGMがある環境や、ホテルのロビーのような人の往来が多い場所では、周囲の雑音がある中でも会話に集中できる機能が必要になります。
見た目を気にされる方には、目立ちにくいデザインも重要な要素になってきます。
おすすめの補聴器機能
- 相手の声にフォーカスする機能
指向性マイクや音声強調機能など、話し相手の声をより聞き取りやすくする機能です。
目の前の相手の声にフォーカスし、周囲の雑音を抑制してくれるため、1対1の会話をより明瞭にしてくれます。「スピーチフォーカス」や「マイク指向性」などの様々な機能があります。
- 突発音抑制機能
食器の音やドアの開閉音など、突然起こる大きな音を軽減してくれる機能です。
- 風雑音抑制機能
風による雑音を抑えて、屋外での接客でも声がより聞き取りやすくなる機能です。
- 反響音抑制機能
ロビーやホールなど広い空間でも聞き取りやすくなる機能です。
おすすめ器種
- ワイデックス補聴器の耳にかけるタイプ「WIDEX MOMENT sRIC R D」
コンパクトなデザインと、まるでつけていないような自然な音で、聞きやすさが特長の補聴器です。
はじめて補聴器を使う人も満足できる、先進的な機能が搭載されています。
シンプルで洗練された外観ながら、Bluetoothにも対応しており、スマートフォンとつなげば、音楽や通話の音声をダイレクトに楽しむことができます。*
*Bluetooth機能はスマートフォンデバイスによって使えない場合があります。
- シグニア補聴器の耳あな型「Silk Charge&Go IX」
世界初*の小型充電式補聴器で、1円玉とほぼ同じサイズです。耳せんをつけたらすぐに装用が可能で、耳の外からはほとんど見えないので、見た目が気になる人にもぴったりです。
シグニアの最新テクノロジー「ワードロックオン」機能を搭載し、言葉のすみずみまで取り込み、より明瞭に聞き取れます。
*2023年8月、WSオーディオロジーグループ調べ(医療機器認証を受けた補聴器として)
大人数との会話が多い職業
該当する職業例 | 聞こえのニーズ |
・オフィスワーカー(会議が多いなど) |
・複数人が同時に話していても必要な声を聞き分けること |
会議が多いオフィスワーカーや教員、講師、研修担当者などの方には、「1対1の対話が中心の職業」とは別の聞こえのニーズがあります。
この場合は特に、複数人が同時に話していても必要な声を聞き分けることが重要です。
会議では発言者が頻繁に変わりますし、教室の場合は生徒からの質問が様々な方向から飛んできます。
広い空間でも、遠くの声をしっかりとキャッチすることも重要です。
おすすめの補聴器機能
- 雑音の下で相手の声にフォーカスする機能
騒がしい環境で複数人の会話でも、話し相手の声をより聞き取りやすくする機能です。「スピーチフォーカス」や「ロックオン」などの様々な機能があります。
- 反響音抑制機能
会議室や教室など広い空間でも聞き取りやすくする機能です。
- 雑音抑制機能
オフィスのエアコン音やタイピング音などの背景ノイズを軽減する機能です。
おすすめ器種
- ワイデックス補聴器の耳にかけるタイプ「Smart RIC」
独創のL字型デザインが特徴で、自然でクリアな聞こえと快適な装用感を実現しています。マイクカバー構造で余計な雑音を抑え、屋外での接客でも快適に会話が楽しめます。Bluetooth対応で、スマートフォンに接続すると音声を直接補聴器に送信することもできます。*
*Bluetooth機能はスマートフォンデバイスによって使えない場合があります。
オンライン会議中心の在宅ワーク
該当する職業例 | 聞こえのニーズ |
・在宅ワーカー |
・パソコン・スマートフォンからの音声を明瞭に聞き取ること |
コロナ禍を機に急速に普及した在宅ワーク。今や多くの方が自宅からオンライン会議に参加する時代になりました。
在宅ワーカーには、従来のオフィスワークとは全く異なる聞こえのニーズがあります。
最大の特徴は、デジタル機器を通した音声でのコミュニケーションが中心になることです。
パソコンやスマートフォンのスピーカーから流れる音声をより明瞭に聞き取ることが必要になります。
また、自宅という環境は、家族の生活音やテレビの音、外からの騒音など、様々な音が混在しますので、これらの雑音を抑えることもポイントです。
おすすめの補聴器機能
- Bluetooth機能
Bluetooth対応の補聴器なら、スマートフォンやパソコンと直接接続して、電話やオンラインミーティングでも直接音声を受信できて非常に便利です。
詳しくは2章をご確認ください。
- 雑音抑制機能
エアコンの音や家電の稼働音など、家庭内の定常的な背景ノイズを軽減する機能です。
おすすめ器種
- シグニア補聴器のイヤフォン型「Signia Active Pro IX」
見た目も取り扱いのしやすさも、まるでワイヤレスイヤフォンのようです。
シグニア独自の「ロックオン」音声技術を搭載し、騒がしい場所でも大切な会話をしっかりキャッチができ、日常のコミュニケーションをより聞き取りやすくしてくれます。
Bluetooth対応で、スマートフォンと接続すれば、オンライン会議や音楽、通話もスムーズに聞くことができます。*
*Bluetooth機能はスマートフォンデバイスによって使えない場合があります。
騒音が大きい職場での仕事
該当する職業例 | 聞こえのニーズ |
・工場作業員 |
・機械音や騒音の中でも作業指示や安全確認の声を聞き取ること |
大きな機械が動く場所、工事が行われている場所、道路など、騒音が大きい環境で働く方には、また違った聞こえのニーズがあります。
このような職場では、機械音や騒音の中でも作業指示や安全確認の声を確実に聞き取ることが、作業効率だけでなく安全性にも直結します。
聞こえ方をサポートしてくれる補聴器が大いに役立つでしょう、ぜひ補聴器の装用を検討してください。
またこのような環境では、汗や粉塵、湿気や水にさらされることも多いため、補聴器選択の際は耐久性も重要なチェックポイントです。
ヘルメットや防音ヘッドフォンと併用することもあるため、装着のしやすさも考慮する必要があります。
ただし、非常に騒音が大きい環境では、聴力に関係なく会話自体が困難になる場合があります。
そのような現場では、手信号や視覚的な合図など、音声以外のコミュニケーション手段も併用されています。
同時に、耳を保護するためのアイテムを使用したり、頻繁に耳を休ませるための休憩をとったりするなどの対策も必要です。
おすすめの補聴器機能と特徴
- 防水・防塵性能
いま販売されている器種の多くは「IP68」という高い防水・防塵性に対応しており、過酷な環境でも比較的安心して使用できます。
- 耐衝撃性
落下や衝撃により強い頑丈な設計となっているものを選びましょう。
- 風雑音抑制
屋外作業時の風音を軽減し、周りの聞こえをよりクリアにしてくれる機能です。
おすすめ器種
- シグニア補聴器の耳かけ型「Intuis 4」
丈夫な本体としっかりとした性能を持つ耳かけ型補聴器です。シグニアの音声技術を集めたダブルプロセッサー搭載で、言葉と環境音を別々に処理して、すっきりとした聞こえを実現してくれます。
言葉はしっかりと聞き取れると同時に、周囲の環境音も必要な音量で届くので、例えば機械の操作音を聞き逃すこともないでしょう。
Bluetooth機能もあり、iPhoneやASHA対応のAndroid端末*と接続して、テレビ*や電話、音楽などの音声データを直接補聴器に転送し、クリアな音で楽しむことができます。
*Bluetooth機能はIntuis4のクラスやスマートフォンによって使えない場合があります。補聴器販売店にご確認ください。
*テレビとの連携には別売りの機器が必要です。
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シグニア補聴器のオーダーメイド耳あな型「Insio IX」
Insio IXはあなただけの耳型に合わせて、オーダーメイドで作られる補聴器です。耳にしっかりフィットし、耳への収まりが良く、防音ヘッドホンなどとの相性も良好です。
シグニアの最新技術「ワードロックオン」機能が搭載され、言葉の手がかりになる細かい情報をより正確に再現し、より明瞭な聞こえを実現することができます。
業務環境や内容によって、補聴器を選定する際のポイントが大きく異なります。
ご紹介した器種について気になる方は、ぜひお近くの補聴器販売店でこれらのタイプや特長をチェックしてみてください。
2 仕事に便利な補聴器の機能・アクセサリー
ビジネスシーンでの使いやすさを高めてくれる、便利な補聴器の機能やアクセサリーもいくつかあります。ここでは、特におすすめのものをご紹介します。
- Bluetooth機能
- 補聴器専用の小型マイク
- ロックオン(シグニア補聴器)
- マスクモード
Bluetooth機能:スマートフォン等とつないで会議や通話もスムーズに
Bluetooth機能を搭載した補聴器は、スマートフォン等と直接接続して、音声をそのまま補聴器にストリーミングでき、オンライン会議や通話もスムーズに対応できます。
利用できる機能は補聴器の器種によって異なります。まずはお気軽に補聴器販売店でご相談ください。
また、 Bluetooth機能はスマートフォンによって使えない場合があります。こちらも補聴器販売店でご確認ください。
Bluetoothについて、詳しくはこちらの記事もおすすめです:
補聴器専用の小型マイク:会議やプレゼンにも対応
補聴器を「高性能マイク」に変える小型アクセサリーもあります。
たとえば、会議室でプレゼンを聞くとき、話者と距離があっても、話者の近くに補聴器専用の小型マイクを置けば、その声がクリアに補聴器に届きます。
このマイクは周囲の音や人の声を拾って、直接補聴器に送信してくれるので、騒がしい環境でも安心ですね。
また、最近のイヤフォンやヘッドフォンには「通話用のマイク」が搭載されていることが増えていますが、補聴器の多くには搭載されていません。
そうすると、たとえばBluetooth機能でパソコンやスマートフォンと接続できても、自分の声をどうやって相手に届けるか困ってしまいます。
そんなときに便利なのが、この小型マイクです。
Bluetooth経由で補聴器と接続すれば、補聴器からパソコン音声を聞いて、自分の声は胸元の専用マイクが拾ってくれます。
まるで簡易的なヘッドセットのように使えるわけです*。
シグニア補聴器:StreamLine Mic
フォナック補聴器:ロジャーマイクロホン
リサウンドGN補聴器:マイクロマイク
*PCの種類やBluetoothのバージョンによって、繋がらない場合があります。事前にご確認ください。
ロックオン(シグニア補聴器)
シグニア補聴器の最新の技術です。複数人の会話でも、有能なプロセッサーが音声データを素早く処理し、話し相手が動いていてもしっかりと声を「ロックオン」し、言葉のすみずまでより正確に再現してくれて、聞き取りやすさをキープしてくれます。
マスクモード:口元が見えなくても安心
多くのマスク素材は、音声に含まれる高い音を吸収してしまい、音声のバランスが変わってしまいます。
普段聞いていた声と違うバランスの声になるので、何を言っているのか分からないことが増えるのです。
これはアクリル板などのパーティション越しの場合も同様です。
もう一つマスクの弊害があります、それは口元が見えないことです。
会話はもちろん「耳で声を聞き取る」ものですが、実は視覚情報である「口元を見る」ことで得られる情報も大切です。
口の形、口の動き、また口元に現れる感情などを、音声の情報と合わせることで、言葉を理解するのに利用しているのです。
ところがマスクで口元が隠れてしまうと、その目からの情報が失われてしまいます。
音声のバランスが狂っていることに加え、視覚からの情報が得られないので、マスクをしている人との会話は難聴者にとってとても難しいのです。
そこで役立つのが、補聴器に搭載された「マスクモード」という機能です。
この機能を使えば、吸収されがちな高めの音を増幅し、会話の明瞭度をアップしくれます。
3 【実際に職場で試せる】補聴器のレンタルについて
「補聴器を購入したけど、実際に職場で使ってみたら使いづらかった、なんてことない?」
そんな不安をお持ちの方には、購入前に職場で補聴器を試してみることをおすすめします。
実際の職場環境で、補聴器の聞こえ方、装用感や使える機能などを体験できるのは、とても大切なことで、大きな安心につながります。
そのためにぜひ活用したいのが、補聴器販売店が提供している「補聴器お試しレンタル」プログラムです。
店舗によって内容は異なりますが、多くの販売店が数日から数週間、補聴器を貸し出してくれるので、その間に職場や自宅など、補聴器を使用する環境で実際に使ってみることができます。
補聴器を検討する時は、一人ひとりの聞こえやニーズ、生活スタイルに合ったものを選ぶことがとても重要です。
まずは、お近くの耳鼻咽喉科や補聴器販売店にご相談してみてください。きっと、ぴったりの補聴器を提案してもらえるはずです。
4 よくある質問】仕事で補聴器を使う際のきになること
補聴器をつけたら、本当に仕事上で役立ちますか?
はっきりとした答えは一概には言えません。仕事の環境や個人差などがあるからです。
ですが、多くの人が役に立ったと感じている、という調査報告があります。
日本補聴器工業会調査の「JapanTrak 2022」調査によると、既に補聴器を使っているユーザーの約9割は「仕事上で役に立っている」と回答しています。
引用:日本補聴器工業会調査の「JapanTrak 2022」
補聴器は、私用と仕事用を分けた方がいいですか?
たとえば、「仕事では屋外での作業が多い」などと、極端に使用環境が異なる場合は、私用と仕事用で使い分ける人もいます。
しかし、補聴器は高額な医療機器であることに加え、多くの補聴器では簡単にモードの切り替えが可能なため、1台で十分対応できるケースがほとんどです。
補聴器購入の際、職場による補助金や保険など、金銭的なサポートはありますか?
補聴器は医療機器のため、条件次第では助成金・補助金の対象となることもあります。
また、会社によっては、福利厚生や業務上の必要性から費用を一部負担してくれるケースもあるかもしれません。
まずは販売店や勤務先の人事・総務担当に相談してみてください。
補聴器購入の補助金や助成制度、種類や条件、手続きを詳しく知りたい方に
まとめ
仕事における「聞こえ方」や「聞き取り」の問題は、単に音が聞こえるかどうかだけでなく、信頼関係や業務の正確さにも深く関わる大切な要素です。
職場や職種に合った補聴器を選ぶことで、日々のストレスを軽減することができ、業務により集中できるようになります。
そのためにも、まずはご自身の聞こえの状態や仕事環境をふまえて、耳鼻咽喉科または補聴器販売店に相談することが大切です。
そこで紹介された補聴器を、ぜひお試しレンタルをして実際の仕事環境で確かめて、自分に合った補聴器を選んでください。