
補聴器について調べていて「認定補聴器専門店」という言葉を目にしたことはありませんか?
補聴器を買うことができるのは補聴器専門店、眼鏡店、デパート、電気店などさまざま。
その中に「認定補聴器専門店」という資格を持つお店があるのをご存じでしょうか。
「“認定”って何が認定されているの?」「普通の補聴器店とどう違うの?」「わざわざ認定店を選ぶメリットはあるの?」
そんな疑問にお答えするために、認定補聴器専門店について詳しく解説していきます。
目次
1 認定補聴器専門店って何?
1-1 認定補聴器専門店の定義と資格要件
認定補聴器専門店とは、公益財団法人テクノエイド協会が認定した補聴器販売店のことです。
この制度は、補聴器の適切な供給と技術サービスの向上を目的として設立されました。
認定を受けるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります(以下要約):
- 認定補聴器技能者が常勤で在籍していること
- 補聴器の測定・調整・適合等を行うために適切な設備・器具を完備していること
- 補聴器相談医と連携して事業を行い、適切な衛生管理と適正な販売・サービス体制を整えていること
参考:認定補聴器専門店認定システム(公益財団法人テクノエイド協会)
1-2 認定を受けるための厳しい基準
認定補聴器専門店になるための基準は決して甘くはありません。
店舗には防音設備を備えた測定室の設置が義務付けられており、聴力測定に必要な専門機器も規定されています。
また、認定補聴器技能者という国家資格に準ずる資格を持つ専門スタッフが必ず常駐している必要があります。
この資格を取得するためには、4年以上の実務経験と厳格な試験に合格する必要があり、取得後も継続的な研修が義務付けられています。
関連記事:なぜ認定補聴器技能者から補聴器を購入した方が良いのか
2 認定補聴器専門店で受けられるサービス内容と、補聴器購入までの流れ
①詳細な聴力測定と診断
認定補聴器専門店では、まず専門的な聴力測定を行います。単純な音の大小だけでなく、どの周波数帯域でどの程度聞こえにくいのか、語音明瞭度(言葉を聴き取る力)はどうかなど、補聴器選択に必要な詳細なデータを取ります。
防音室での純音聴力検査に加えて、実際の生活音に近い環境での聞こえ方も確認。これにより、会議室での声や、にぎやかな場所での会話など、実生活でお困りの場面に合わせた最適な調整方針を決定します。
②個人に合わせた補聴器の選定・調整
聴力測定の結果をもとに、あなたの生活スタイルや聞こえの困りごとに最適な補聴器を選定します。同じ聴力レベルでも、仕事で会議が多い方と、家庭での会話が中心の方では、必要な機能が異なります。
認定補聴器技能者は、豊富な知識と経験をもとに、数多くのメーカーや器種の中から最適なものを提案。
さらに、専用のソフトウェアを使用して、あなたの聞こえに合わせて細かく音の調整を行います。
③試聴期間とフィッティングサービス
多くの認定補聴器専門店では、補聴器を購入する前にお試しできる試聴期間を設けています。
1週間から1ヶ月程度、実生活で補聴器を体験してみて、職場での会議や日常会話での効果を確認できます。
この期間中も定期的に音の調整を行い、「もう少し高音を抑えたい」「騒音の中での聞こえを改善したい」などの要望に応じて、きめ細かく設定を調整していきます。
④定期的なメンテナンスとアフターケア
補聴器は購入して終わりではありません。補聴器に慣れるまでの微調整や、聴力の変化に応じた際の再調整が必要です。
また、補聴器を長く快適に使えるようにするためにも、定期的な清掃、点検も重要になってきます。
認定補聴器専門店では、購入後も継続的なサポートを提供します。
年齢とともに聴力が変化した場合の再調整や、故障時の迅速な対応、最新器種への買い替え相談など、長期にわたって安心して使えるようにサポート体制が整っています。
これらが、認定補聴器専門店で受けられるサービスです。
一般の補聴器販売店でも同じようなサービスを受けることはできますが、専門の技術者や設備が整っている認定補聴器専門店の方が、より安心です。
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3 普通の補聴器店との決定的な違い
3-1 専門知識と技術力の差(認定補聴器技能者)
一般的な補聴器販売店と認定補聴器専門店の最大の違いは、スタッフの専門性にあります。
認定補聴器専門店には、必ず「認定補聴器技能者」が在籍しています。
認定補聴器技能者は、聴覚に関する医学的知識、音響学、補聴器の技術的知識を体系的に学んだ専門家です。
単に商品としての補聴器を販売するのではなく、ユーザー一人ひとりの聞こえの状況を正確に把握し、最適な解決策を提案できる技術力を持っています。
また、定期的な研修により、常に最新の技術や知識を習得し続けています。

参考:認定補聴器技能者とは 認定補聴器技能者を目指される方へ 日本補聴器技能者協会
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3-2 設備・機器の充実度
認定補聴器専門店には、正確な聴力測定に必要な設備が義務付けられています。
防音室や聴力検査機器、補聴器特性測定装置など、医療機関レベルの測定環境が整備されています。
これらの設備により、一人ひとりの聞こえの問題を正確に把握し、それに対応した最適な補聴器選択と調整を行うことができます。
一般的な販売店では、これらの設備が不十分な場合もあり、適切なフィッティングが困難なケースがあります。
3-3 地域の医療機関・補聴器相談医との連携
認定補聴器専門店は、地域の耳鼻咽喉科医院や補聴器相談医と連携していることがほとんどです。
医療機関と連携することで、補聴器装用前の医学的な検査や、装用後の経過観察など、医療面でのサポートも含めた総合的なケアを受けることができます。
聴力の急激な変化や、補聴器で改善しない聞こえの問題がある場合には、迅速に医療機関を紹介して適切な治療に結び付けることもできます。
4 どこにあるの?近くの認定補聴器専門店の見つけ方
4-1 テクノエイド協会の検索サービス
最も確実な方法は、公益財団法人テクノエイド協会の公式ウェブサイトを利用することです。
「認定補聴器専門店検索」のページから、お住まいの地域の認定店を簡単に検索できます。
検索結果には、各店舗の住所、電話番号、在籍する認定補聴器技能者の人数なども表示されるため、事前に情報を確認してから来店することができます。
4-2 補聴器相談医、かかりつけの耳鼻咽喉科医師の紹介
もしすでに耳鼻咽喉科を受診している場合や、補聴器相談医の資格を持つ耳鼻科医が近くにいる場合は、医師から紹介してもらうのも良い方法です。
特に補聴器相談医は地域の認定補聴器専門店と連携していることが多いため、お近くの認定補聴器専門店を紹介してくれるでしょう。
また、医療機関からの紹介があることで、より綿密な連携サポートを受けることも期待できます。
参考:補聴器相談医名簿|一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
関連記事:補聴器相談医ってなに?受診のメリットと医療控除を受けるためのポイント解説
4-3 認定証明書が目印
テクノエイド協会の認定補聴器専門店名簿に登録された認定補聴器専門店には、認定補聴器専門店の「認定証書」、「認定プレート」と「ステッカー」が交付されます。
これも一つの目印になりますね。

きこえナビの補聴器販売店検索では、「認定補聴器専門店」だけを検索することもできるので、ぜひ探してみてください。
5 まとめ
会議での聞き返しや日常会話での聞き間違いでお困りの方は、まずは近くの認定補聴器専門店で相談してみることをお勧めします。
補聴器は単なる機器ではなく、あなたの豊かなコミュニケーションを支援するパートナーです。
認定補聴器専門店の専門性を活用して、より良い聞こえの生活を手に入れてください。