難聴とめまいの関係。耳からの危険信号にご用心!

「最近、耳が聞こえにくくなった」「ふらついたり、ふわふわとしためまいが続く」

こんな症状に心当たりはありませんか?

ひょっとしたらそれ、「難聴」と関連があるかもしれません。

難聴とめまいは、それぞれ別の問題に見えて、実は同じ「耳」と深く関係していることがあります。

今回は、耳の不調が私たちの体にどのような影響を及ぼすのか、わかりやすくご紹介します。

1 難聴とめまいの関係

1-1 難聴とめまい、どちらも「内耳」の異常が原因

難聴とめまいが同時に起こると驚かれる方も多いですが、実はこの2つの症状には深い関係があります。

耳は「音を聞く」だけでなく「平衡感覚」を保つ役割も担っており、難聴とめまいは、どちらも「内耳の異常」が原因となることが多いからです。

内耳とは

内耳(ないじ)というのは、耳の奥にある部分を指します。鼓膜より奥にあり、バランスをつかさどる「三半規管」や、音を感じる「蝸牛」という器官があります。

音を感じる「蝸牛」

蝸牛(かぎゅう)は、内耳にあるカタツムリ状の器官で、音を聞くために重要な役割を果たします。
音の振動が蝸牛に届くと、内部のリンパ液が振動し、蝸牛の中にある有毛細胞が刺激されます。この刺激が電気信号となって、聴神経を通り脳に送られ、音として認識されます。

体のバランスを保つ「三半規管」

三半規管(さんはんきかん)は内耳にある3つの半円形の管で、体の平衡感覚を担います。
3つの管は互いに直角に配置され、前後・左右・上下の回転運動を感知します。
頭が動くと管内のリンパ液が流れ、その動きを感覚細胞が検知して脳に信号を送ることで、バランスを保つことができます。

「蝸牛」と「三半規管」は隣り合って存在し、同じリンパ液で満たされているため、1つの部位に問題が生じると、隣接する部位にも影響が及びやすい構造になっています。

例えば、内耳の血流障害や炎症、リンパ液の異常などが起こると、蝸牛と三半規管の両方の機能が同時に低下することがあります。

そのため、「聞こえにくい」と「ふらつく」という一見別々に思える症状が、実は同じ根本的な原因から生じているケースが少なくありません。

1-2 難聴を伴うめまいはこの病気が原因かもしれません

難聴とめまいが同時に現れる場合、以下のような疾患が考えられます。

メニエール病

メニエール病は、内耳のリンパ液が過剰に溜まることで起こる代表的な疾患です。

回転性のめまい発作と同時に、聴力低下耳鳴り耳の閉塞感が現れることが特徴です。

めまい発作は30分から数時間続き、吐き気や嘔吐を伴うことも多く見られます。

初期段階では発作後に聴力が回復することがありますが、繰り返すうちに徐々に聴力が低下していく傾向があります。

参考:多忙や心労がかかわるめまい、難聴(メニエール病)

突発性難聴

突発性難聴は、ある日突然に片側(まれに両耳)の聞こえが悪くなる、原因不明の疾患です。

聴力低下とともに、強いめまいや耳鳴り、吐き気などを伴います

治療が遅れれば遅れるほど治りにくく、早期の治療が聴力回復の鍵となるため、症状に気づいたらすぐに耳鼻咽喉科を受診することが重要です。

参考:突発性難聴(日本耳鼻咽喉科頭頚部外科学会)

関連記事:突発性難聴の治療は時間との勝負。「そのうちに」が手遅れに?!

加齢性難聴

加齢性難聴は、年齢とともに徐々に進行する難聴で、高い音から聞こえにくくなることが多いのが特徴です。

加齢により内耳の機能全体が低下するため、聴力低下と同時にふらつきや平衡感覚の異常を感じる人もいます。

参考:難聴について | Hear well Enjoy life. – 快聴で人生を楽しく – | 日本耳鼻咽頭科学会

関連記事:感音難聴のことがよくわかる!放置して平気?症状や原因、治療法は?

2 こんなときはすぐに受診を!

2-1 めまい、難聴の主な症状

以下のような症状が現れた場合は、放置せず速やかに医療機関を受診することをおすすめします。

聞こえ方に急な変化があった

朝起きたら急に聞こえにくくなった、電話の音が聞き取りにくくなった、テレビの音量を上げても聞こえにくいなど、聞こえ方の急激な変化は要注意です。

特に片側だけの急激な聴力低下は突発性難聴の可能性があり、治療開始が遅れると聴力回復が困難になることがあります。

「とりあえず様子を見よう」と考えずに、症状に気づいたらすぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

めまいが何度も起きる、または長く続く

回転性めまい(自分や周囲がぐるぐる回る感覚)が繰り返し起こる場合や、ふらつきが数日間続く場合は内耳疾患の可能性があります。

特に吐き気や嘔吐を伴う激しいめまい発作は、メニエール病や良性発作性頭位めまい症などの疾患が疑われます。

また、起き上がったときや頭を動かしたときに決まってめまいが起こる場合も、専門的な検査が必要です。

参考:めまいの原因・治療法|耳鼻咽喉科・頭頸部外科

耳鳴りや耳の詰まり感がある

「キーン」「ジー」といった耳鳴りや、耳に水が入ったような詰まり感は、内耳の機能異常を示すサインかもしれません。

特にこれらの症状が難聴やめまいと同時に現れる場合は、内耳疾患の可能性が高くなります。耳鳴りは一時的なものと思われがちですが、持続する場合は早めの受診が大切です。

※難聴を伴わないめまいの場合でも、その背後に重大な病気が隠されている場合があります。めまいが頻繁に起こるようならすぐに耳鼻科専門医を受診しましょう。

関連記事:耳鳴りが続く人へ…耳鳴りの意外な原因、主な種類と対策を徹底解説

2-2 めまいや難聴のお悩みは「めまい相談医」に相談しよう

めまいや難聴の症状でお困りの場合、まずは耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。

特に、めまいを専門とする医師による診察を受けることで、より正確な診断と適切な治療を受けることができます。

めまい相談医とは

めまい相談医は、めまいの専門知識および基本的な診療技術を備えていると、一般社団法人日本めまい平衡医学会が認定した医師です。

めまい相談委を探すときはこちらから:めまい相談医一覧 | 日本めまい平衡医学会

まとめ

難聴とめまいは、どちらも内耳の異常が原因で起こることが多く、深い関係があります。

気をつけたい症状

  • 急に聞こえが悪くなった
  • めまいが何度も起きる
  • 耳鳴りや耳の詰まり感がある

これらの症状に気づいたら、様子を見ずにすぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。早期治療が改善の鍵となります。

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