
なんだか最近、耳が詰まったような感じで、音が聞こえにくくなったような気がする…。好きな音楽の聞こえ方も前とは違っているようだ。
でも、まだ50代前半なので、老化で聞こえにくくなるにはまだまだ早いはず…。
ひとことで聴力の低下といっても、その症状や原因は多岐にわたります。
そして難聴の種類もいろいろです。
感音難聴、伝音難聴、という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
聞こえにくいという症状は同じでも、感音難聴と伝音難聴では、その原因や対処方法は大きく異なってきます。
まずは、自分の聴力低下について正しく理解することが大切です。
その上で適切な対応を取るようにしましょう。
目次
1 伝音難聴とはどんな難聴
最も一般的な難聴の分類方法は耳の構造によるもので、耳の中のどの部位の障害が難聴を引き起こしているかによって、「伝音難聴」「感音難聴」「混合性難聴」に分類されます。
ではまず、伝音難聴について説明します。
1-1 音を伝える器官やプロセスの障害によって発生する難聴
伝音難聴は、耳の構造のうち、外耳や中耳といった「伝音器」の障害が原因となって生じる難聴のことをいいます。
音は耳介(耳たぶ)から外耳道(耳あな)に入り、その奥の鼓膜を振動させ、ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨(3つ合わせて耳小骨)を通して内耳にある蝸牛という器官に到達します。
蝸牛の内部には音の強弱や工程を分析し、電気信号に変える「有毛細胞」が並んでいます。
有毛細胞によって変換された電気信号が、聴神経を通じて脳に送られることで「音」として認識されることになります。
この一連の流れのうち、「音を伝える」役割を担う器官であるのが、外耳と中耳で、ここは「伝音器」と呼ばれます。
この「伝音器」に障害が出ることによって発生するのが「伝音難聴」です。

1-2 伝音難聴の代表的な症状は?
伝音難聴の症状の代表的なものは以下のようになります。自分の症状に照らし合わせてみましょう。
- 全体的に音量が足りないように感じる
- 特に低音域が聞こえづらい感じがする
- 話をすると、自分の声が頭の中で響いて大きく感じる
- 声がはっきり聞き取りにくく、こもったように感じる
- 耳が詰まったような、圧迫されるような感じがする
- 中耳炎などが原因の場合、痛みや耳だれ、発熱など炎症による症状がある
↓より詳しい情報は、こちらの記事を参考にしてください
1-3 伝音難聴の原因は?
伝音難聴の原因は多岐にわたりますが、主に以下のようなものがあります。
原因 | 説明 |
耳垢栓塞(じこうせんそく) | 耳あかがたまり、外耳道(耳あな)を塞いで音の伝達を妨げている |
外耳道炎 | 感染やアレルギーによる外耳道内での炎症 |
先天的な外耳道閉鎖 | 生まれつき外耳道が塞がっている状態 |
中耳炎(急性または慢性) | 中耳に炎症や感染が起こり、鼓膜や耳小骨の働きが悪くなる |
滲出性中耳炎 | 中耳に液体がたまり、鼓膜の振動が妨げられる |
耳小骨の異常 | 耳小骨(ツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨)の連結の障害や硬化 |
鼓膜穿孔 | 鼓膜に穴があいて音の伝達が妨げられる |
耳管の機能不全 | 耳と鼻をつなぐ耳管が上手く機能しないことによって、中耳の圧が正常に保てなくなる |
外傷などの影響 |
外傷によって鼓膜が損傷したり、耳小骨が破損したりする |

2 伝音難聴と感音難聴の違い
難聴の種類として一般的なものに、「伝音難聴」と「感音難聴」があります。
同じ難聴でもこの2つにはいくつかの違いがあり、治療や対処方法も変わってきます。
伝音難聴と感音難聴の違いを正しく理解するようにしましょう。
伝音難聴 | 感音難聴 | |
障害が起きている場所 |
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原因 |
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症状 |
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治療や対処方法 |
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聴力が低下しているという自覚があっても、それが、伝音難聴なのか、感音難聴なのかを自分で判断することは非常に困難です。
ですので、聴力の低下を感じた場合には、症状に関わらす耳鼻科医の診察を受けることをおすすめします。
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3 伝音難聴の治療
伝音難聴は一般的に医学的な治療が可能といわれています。具体的な症状や原因によって治療方法も変わってきます。
以下、原因や症状に対応した代表的な治療方法を紹介します。
原因や症状 | 治療方法 |
耳あかのつまり |
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中耳炎 |
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鼓膜の損傷 |
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耳小骨の障害 |
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外耳道の閉塞 |
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このように、伝音難聴は多くの場合、投薬や手術などの医学的な治療によって、聴力の回復が期待できます。
ただし、治療の方法や治療にかかる期間、どの程度の回復が期待できるのかについては、原因や症状によって大きく異なるため、できるだけ早く耳鼻科の診断とそれに基づいた適切な治療を受けることが重要になります。
少しでも聴力に問題があると感じた場合は、耳鼻科の専門医に相談することをおすすめします。

4 補聴器の活用
伝音難聴は、外耳や中耳の障害によって音が内耳にうまく伝わらないことによって発生する難聴です。
内耳(蝸牛)や聴神経自体は正常であるため、補聴器を活用して音を大きくすることで聴力が改善される可能性が高いといえます。
補聴器の活用を検討する場合にも、補聴器の効果が期待できるかどうかなどについて、耳鼻科医に相談するようにしましょう。
ひとことで補聴器といっても、最新機能を搭載した高機能なモデルから、必要最低限の機能に絞ることで、価格を抑えたものまで多彩な製品が販売されています。
また、形やデザイン、カラーなども豊富に揃っています。

自分の聴力や聞こえの状態、生活環境にはどんな補聴器が合っているのかなど、補聴器を選ぶ際には専門家に相談するようにしましょう。
↓こちらの記事を参考にしてください